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日別アーカイブ: 2017年7月6日

過呼吸(過換気症候群)について①

先日患者さんより過呼吸について相談をいただいたので私なりの意見をお伝えしたいと思います。

 

 

まずどのようにして起こるのかというのと対処法を知ってください。

 

 

 

過呼吸は、短い時間に「浅い呼吸」を「くり返し早く」行うことで起こりやすくなります。体内に酸素が増えすぎて、血液中の二酸化炭素の濃度が極端に低下し、息が苦しくなり、動悸・めまい・手足のしびれなどの症状がでます。急な発作に動揺し、パニックになることがあります。発作は時間が経つと鎮まり、命にかかわることはありません。正しい処置を知っておきましょう。

 

 

発作は自然に治まる「慌てないこと」が大事

過呼吸による発作は、酸素を吸いすぎたことにより、血液中の酸素と二酸化炭素のバランスが崩れ、極端に「二酸化炭素の濃度」が低下したことで起こります。胸が苦しく、呼吸がしづらいことから、「酸素が足りない」と本人は認識しますが、不足しているのは二酸化炭素です。

 

 

二酸化炭素が不足しているので、体は一旦呼吸を停止しようとしますが、意識は「息苦しい」と感じて必死に呼吸をしようとします。体内で起こっていることと、本人の意識でズレが生じて喉の奥が引きつるような症状があらわれ、混乱します。そのうえ、視界は狭まり、頭痛・めまい・耳鳴り・全身のけいれんがあらわれると、冷静さを失い、パニックに陥ることがあります。

 

 

しかし、「息が吸えない感覚」に襲われているだけで、実際に酸素は十分にあり、死ぬようなことはありません。落ち着いて、慌てないことが大事です。発作は、10~30分で治まるのが一般的です。強い発作でも、1時間程度で自然に回復します。

 

 

 

過呼吸が起こっている体内は、血液中に酸素が増えすぎて、二酸化炭素が不足している状態です。そこで意識としては、苦しくて息を吸いたくなりますが、酸素を摂り込むのは「逆効果」です。酸素を抑えて、二酸化炭素の濃度を上げることが必要です。あせらず、まずは気持ちを落ち着かせ、次のようなを行います。

 

1.胸に手をあてて、呼吸の速度を下げる

周囲の人は、背中に手をあててあげましょう。それだけ落ち着くことがあります。

 

2.呼吸のリズムを「浅くゆっくり」にする

深く吸うと、二酸化炭素の濃度が上昇しずらくなります。

 

3.息を吸ったあとに、1~2秒息を止める

呼吸回数を減らし、二酸化炭素の濃度を上げる効果があります。

 

4.吸い込んだ息を、10秒かけて吐く

吐くことに意識を集中します。周囲の人が「イーチ、ニー、サーン」と声を出して数えてあげるとよいでしょう。

 

ペーパーバック法」は、むしろ危険!

 

過呼吸の発作では、周囲の人が気づいて、袋を口にあてる「ペーパーバック法」が以前は常識でしたが、いまはむしろであるとして推されていません。この方法は、本人が吐いた空気(二酸化炭素)を再び吸い込むことで、二酸化炭素の濃度を上げる試みですが、次の理由で危険とされています。

 

  • 過呼吸だけでなく、他の重篤な病気である可能性もある
  • 二酸化炭素を吸い込むことで、不安を助長させる恐れがある
  • 低酸素をまねき、死亡したケースがある

 

過呼吸の発作は時間が経てば鎮まりますが、次のような状態が続くときは、119番に電話して救急車を呼びましょう。

 

  • 手足または全身のしびれが改善しない
  • けいれんを起こしている
  • 声をかけても反応が薄く、意識が遠のいている
  • 失神している、あるいはしかけている

 

救急車が到着するまでのあいだ、周囲の人は「自分の名前は?」「どこが痛む?」など、なるべく声をかけて会話をするように心がけましょう。会話をすることで、呼吸回数が減り、二酸化炭素の濃度が上昇し、症状が和らぐことがあります。

 

 

また、過労や寝不足が過呼吸を引き越すといわれています。風邪の症状で過呼吸にかかる人もいるようです。いずれにせよ、普段の体調を整えることが予防につながります。そして何よりも「発作は自然に治まる」という安心感を持つことです。

 

それでも「胸が苦しい」「これは過呼吸かも」と感じたら、息を吸い込む時間よりも長い時間で息を吐くようにしましょう。呼吸の際に息を完全に吐き切るのが大事です。「息を吸う1:息を吐く2」の割合で呼吸します。

 

まとめ

 

過呼吸は、急な発作で「息ができずに窒息死するかも」とパニックを起こしやすい症状です。しかし窒息するような現象は体に起こっていません。強い発作でも、時間が経てば自然に治まります。『正しい理で「CO2濃度」を上げる』の段落で挙げた処置を行いましょう。

 

当院での施術と考え方を過呼吸➁でお伝えします